彩食手技
2024年7月1日
先日,❝Vegan Ramen UZU Kyoto❞へ行ってきました。
ミシュランガイド京都·大阪 2024 にビブグルマンとして掲載されたこの店は,チームラボのアート作品「反転無分別」が壁に展示されており,黒く磨かれたテーブルがその作品を取り囲むように配置されています。客人は,壁だけでなく,テーブルにも映り込んだ作品に包まれながら,ヴィーガン料理を楽しむことができます。
このアートは実に驚嘆すべきものであり,「空書」と称される書は作品空間内で一方向に回転しています。しかし,「超主観空間」の特性により,視覚的には左回転も右回転も論理的に同等と見なされます。したがって,意識の作用によって書は左回りにも右回りにも変化するのです。
コースはまず,ウェルカムドリンクとして提供されるほうじ茶コンブチャから始まります。香ばしい香りと爽やかな酸味が絶妙に調和し,食欲をそそります。前菜のヴィーガンチーズと八ツ橋は,伝統と革新が見事に融合した逸品であり,手巻き寿司は新鮮な野菜と特製のヴィーガンマヨネーズが絶妙なハーモニーを奏でます。
メインのラーメンは,北海道の羅臼産昆布と国産椎茸,玉ねぎ,セロリ,生姜,にんにくなどの野菜を12時間じっくり水出しし,その後低温で煮出すことで滋味深い味わいに仕上がっています。自家製の中太麺は,北海道産小麦粉と宮崎県綾町産の無農薬全粒粉を使用しており,豊かな風味ともちもちとした食感が特徴的です。調味料はすべて無添加無化調のものを使用しており,醤油ラーメン,味噌ラーメン共にヴィーガン食材で作られたとは思えないほどのコクと香りが楽しめます。
デザートには,きな粉アイスクリームが提供され,その滑らかな舌触りと香ばしい風味が食事の締めくくりにふさわしい一品となっています。ドリンクは日本酒,ビール,和コンブチャ,お茶から選べ,どれも料理との相性が抜群です。
このコースを通じて感じたのは,食材一つ一つに宿る生命への深い敬意と,食を通じて紡がれる命の物語です。料理の一皿一皿が,自然の恵みと人の技が織りなす詩篇となり,心に響き渡りました。
空間全体を包み込むように展示された「反転無分別」は「空書」が織りなす旋律は,視覚的な美しさと哲学的な深みを兼ね備えており,書の墨跡が持つ深さや速さ,力の強さが,新たな解釈で空間に立体的に再構築され,平面と立体の間を行き来するその姿は,まるで生命の循環を象徴しているかのようです。
このアートと料理が一体となった空間で,私たちはただ食事をするのではなく,生命の尊さと美しさを五感で感じ取ることができるのです。
京都を訪れる際には,ぜひ皆様も足を運んでみてください。
三村(晃)