アジア初にして最大級のヴィジュアル文化美術館
2023年1月7日
20世紀·21世紀の視覚芸術をテーマにしたアジア初の美術館“M+”へ行ってきました。
65,000㎡の敷地を持つアジア最大級の文化施設で,17,000㎡におよぶ33の展示室に加え,3つの劇場とヴィデオ・アート作品を鑑賞できるメディアテーク,ミュージアムショップ,図書館,アーカイブルーム,美術館オフィス,レストラン,カフェバー,屋上庭園が備えられています。
この規模の面積とコレクション数は,ニューヨーク近代美術館(MoMA),ロンドンのテートモダン,パリのポンピドゥーセンターにも匹敵し,アジアを代表する美術館として世界のトップ5に入ることを目標に掲げています。
日本はアジアの近代美術デザイン史で最も重要な位置づけにあり,常設展に限っても,大好きな横尾忠則や田名網敬一のポスター,榮久庵憲司によるキッコーマンのしょうゆの瓶,柳宗理の家具,ソニーのウォークマン,ナショナル(現パナソニック)のラジオ,ダイハツのミゼット(三輪自動車)など日本人アーティストの作品や日本製プロダクトが並び,何だか誇らしい気持ちになりました。
また,世界的なインテリアデザイナーとして知られる倉俣史朗がデザインを手がけ,1988年に新橋にオープンした寿司屋「きよ友」(経営難により2004年に閉店)の店舗一式を約2億1千万円で購入し,移築した大胆な展示に驚きました。
緩やかなカーブを描き障子を連想させる天井や,青と赤のラインが配された扉によって,日本の伝統とモダンさが同居する空間に,観光客ながら日本に居るかのような安心感と温かさを覚えました。
設計は,建築界のノーベル賞とも言われるプリツカー賞を2001年に受賞しており,プラダ青山店や鳥の巣でお馴染みの北京国家体育場で知られるHerzog & de Meuronらが担当しており,建物のファサードには,コレクション作品や特別なコミッション,美術館に関するコンテンツを表示するためのLEDシステムが設置されており,煌びやかな香港の夜景の中でも一際強い存在感を放っていました。
三村(晃)