木々の囀りに調和する日光杉の文化財
2023年7月31日
イタリア大使館別荘記念公園へ行ってきました。
明治中頃から昭和初期にかけて中禅寺湖畔には多くの外国人別荘や各国の大使館が建てられ,「夏には外務省が日光へ移る」といわれるほどに,国際避暑地として発展していました。
園内の建物は,1928年にイタリア大使館の別荘として建てられ,1997年まで歴代の大使が使用していたもので,その後は栃木県が買い取り,床板や建具・家具などをできる限り再利用して復元されました。
本邸は著名な建築家であるアントニン・レーモンドの設計により建設されたもので,国の登録有形文化財に登録されています。
豊かな自然環境に調和し,特に外壁に使用されている日光杉の樹皮と薄板で構成された市松模様は,大変美しいエッセンスとなっています。
1階は,共に暖炉を持つ食堂と書斎が中央の居間を挟んだワンルームとなっており,開放感あふれた広縁につながっています。
時が経つのを忘れるような静寂な空気の中で美しい湖を眺めることができる書斎は,読書や執筆が捗りそうです。マントルピースは当時のままの状態で,マントルピース横の本棚は,書斎にふさわしい,大きな作りつけの棚となっています。
2階は湖に面して寝室が並び,湖の景観を最大限に生かした設計となっています。南に面しているので,吹き抜ける風と柔らかな木漏れ日を感じながら,表情豊かな湖面に映る陽を眺めていたのではと想像してしまいます。
近くには英国大使館別荘があり,こちらも一般公開されていました。
三村(晃)